中央銀座法律事務所

よくある質問

離婚するとき、夫(または妻)から慰謝料は必ずもらえますか。 慰謝料の相場はどれくらいで、実際にはどのように決まるのですか。

  • 離婚・男女問題

2016.03.09

弁護士の回答

離婚をすれば慰謝料は必ずもらえるとは限りませんし、必ず支払わなければならないものでもありません。

慰謝料は、お互いの合意さえあれば、いくらでも構いません。その意味では、慰謝料の相場という考え方は当てはまりません。

ですが、裁判所で慰謝料の額が判断される場合には、離婚に至った原因や双方の経済状態など様々な事情が考慮されて決まり、ある程度の金額の幅に収まることが多いです。

慰謝料とは?

こころの痛みを回復するために支払われるお金のことをいいます。少し難しい言葉を使うと、慰謝料とは精神的苦痛を被ったことに対して支払われる損害賠償金です。

もちろん、金銭をもらったからといって、こころの痛みが回復するかというと、なかなか難しいところではありますが、ひとまず先に進みましょう。

離婚する場合の慰謝料とは?

厳密には以下のように二種類あります。

① 不貞行為(浮気)、DV(身体への暴力、言葉による暴力)など、片方の配偶者の離婚の原因となった個々の不法行為(違法な行為)によって精神的苦痛を被ったことに対する慰謝料

② 離婚をやむなくされたことそれ自体、すなわち配偶者の地位を失うことから生ずる精神的苦痛に対する慰謝料

もっとも、理論的にはこのような区別ができますが、実際には、まとめて離婚の慰謝料の額が決まります。

離婚をすれば慰謝料は必ずもらえるのか?

離婚をすれば、必ず慰謝料がもらえる(もしくは払わないといけない)と考えている方も多いと思います。

しかし、これは誤りです。

必ずもらえる(もしくは払わないといけない)とは限りません。

慰謝料はどのようなときに認められるのか?

慰謝料が認められる典型的なケースとしては、片方の配偶者に浮気やDVといった不法行為があった場合が挙げられます。

個々の不法行為が認められない場合でも、離婚せざるを得なくなった原因が片方の配偶者にのみある場合や、夫と妻の双方に原因があるが片方の配偶者の有責性が他方のそれを上回るときは、片方の配偶者の離婚に至るまでの一連の行為を一個の不法行為としてとらえ、慰謝料が認められます。

したがって、性格の不一致や価値観の相違といった、どちらかが一方的に悪いわけではない場合、裁判所では慰謝料を認めてもらえません。

慰謝料の金額はどのように決まるのか?

慰謝料が認められるケースに該当するとして、どのように金額が決まるのでしょうか。

裁判所で判断される場合、50万円~300万円程度と言われていますが、様々な事情によって異なります。

例えば、離婚の原因となった有責行為の態様、有責行為者の責任の程度、性別、年齢、婚姻期間、同居や別居の期間、職業、離婚することにより受ける経済面での不利益などが考慮されます。

そして、以下のような場合には、慰謝料が高くなる事情として考慮されます。

・有責行為の態様が悪質である
 例)不貞行為の場合・・・回数が多い、期間が長い、不貞の相手が妊娠や出産をした
・慰謝料を受け取る側が受けた精神的、肉体的苦痛が激しい
・婚姻期間が長い
・慰謝料を支払う側の経済力や地位が高い
・慰謝料を受け取る側が、離婚後、未成年の子どもの親権者となる
・慰謝料を受け取る側に経済力が乏しい

慰謝料が発生するケースに該当しない場合は、慰謝料は発生支払われないか?

これまでのお話は、裁判所で慰謝料が争われた場合の、裁判所の最終的な判断を想定しています。

しかし、性格の不一致や価値観の相違などによって離婚する場合でも、お互いの話し合いのなかで、片方の配偶者が他方の配偶者に対して、慰謝料や解決金といった名目で金銭が支払われることはあります。

また、金額に決まりはなく、双方が同意すればその金額になります。