中央銀座法律事務所

よくある質問

借地人が借地上の建物を売却したいと申し出てきました。法律的にはどのようなことが問題となるのでしょうか。

  • 不動産問題

2016.11.14

弁護士の回答

借地権の譲渡承諾が問題となります。

借地権の譲渡承諾とは?

借地人が借地上の建物を売却する場合、借地人は、当該建物と一緒に借地権を売却するのが一般的です。

ですが、借地人は、事前に地主の承諾を得る必要があります。
地主(借地権設定者)がこの承諾を拒んだ場合でも、借地人は裁判所の手続き(借地非訟)を踏めば、借地権の譲渡が可能となります。これが、いわゆる借地権譲渡承諾に代わる許可と呼ばれるものです。 

裁判所が借地権の譲渡を認める場合とは?

地主に不利となるおそれがない場合に、裁判所が借地権の譲渡を認めます。
地主に不利となるおそれの有無は,売却予定先となる人物や会社の経済的信用及び社会的・人的信用の観点から判断されます。

経済的信用については、賃料を支払えるかどうかという問題なので、借地権付建物を購入する者はそれなりの資力を有していることが通常ですから、実際に問題となることはあまり多くありません。
社会的・人的信用については、地主の主観ではなく、一般社会通念に照らして、地主と借地人との信頼関係が維持できるかという客観的な視点から判断されます。 

借地権譲渡承諾料とは?

地主が承諾する場合や裁判所が借地権譲渡承諾に代わる許可を与える場合、借地権の譲渡承諾料についても問題となります。
譲渡承諾料の額について絶対的な基準はありませんが、借地権価格の1割程度になることが多数です。 

地主の介入権とは?

借地権者から借地権譲渡承諾に代わる許可の申立がなされた場合でも、地主は、自らが建物及び借地権の譲渡を受けることの申立ができます。
この場合、裁判所は、相当な対価を定めて借地権者から地主への譲渡を認めることができます。この場合、借地権価格及び建物価格の合計額から譲渡承諾料相当額を控除した額を相当な対価とする例が多数です。